シドニー キングス クロス

シドニー キングス クロス

オーストラリア シドニー・キングス クロス駅

1986年7月、シドニー地下鉄キングス クロス駅構内。Tenちゃんや空手少年のTsuyoshiがこの周辺に住み、僕の働いていたジャパレスの最寄駅もここキングス クロス駅だった。仕事が終わった後バーやカラオケ、ビリヤードなど馴染みの店を見つけて通っていたので結局僕もグリーブのフラットを出てキングス クロスに移り住むことになった。キングス クロスはよく「南半球最大の歓楽街」とか言われるんだけど、怪しいお店はごく一部だけで、貧しいアボリジニが比較的多いとか、たまにぶっ飛んだ奴が駐車している車を一人でひっくり返したとかはあっても、僕達にとってダーリングハーストは楽しいストリートでしかなかった。…でもまあ、ぶっ飛んで道でヨタってるのは一定数いたかな…。


 

偶然キングス クロスで出会ったTenちゃん(実兄)達は、キングス クロスの近くの エリザベス ベイに住んでいた。

 

割とこぎれいなワンルーム・フラットにTenちゃん、Birdさん、Masaruさん、Hiroshiさんのといった 面々が住み、Tsuyoshiという18歳の男の子が出入りをしていた。Tsuyoshiはオーストラリアで出会った唯一の 年下の日本人ワーホリだった。

 

この狭いフラットに4人のゴツイ日本人男性が住んでいるのもなんか凄く感じたが、 もっと凄かったのが全員なんらかの武道の有段者だったという点だ。

Birdさんは柔道、 Hiroshiさんは少林寺拳法有段者で国体とかに出るほど、 Masaruさんは空手。 Tenちゃん、Masaruさんは自衛隊出身という事もあり銃剣道とか柔道、剣道とかの段も持っていた。 さらに出入りのメンズを入れると 僕が合せ2段、Tsuyoshiも空手家でシドニーでも子供たちにボランティアで空手を教えていた。 全員で合わせて何段か数えた事があるが、合せ20段を超えていた。

 

まあみんな武道家だけあって粗い、雑、男くさい、あっけらかんとしていて 毎日飲んで馬鹿っ話しばかりしていた。

…もしここに間違って強盗でも入ってこようもんなら…。

きっと強盗さんは悲惨な目にあっただろう。

 

オーストラリア・シドニー。1986年 エリザベス ベイ

1986年8月、シドニー・エリザベス ベイ。

シドニーはオーストラリア最大の都市だけあって日本人の数も多く、ワーホリとなると18歳から25歳と限定 されるわけで世代が近い分仲良くなりやすい。

僕は年の近いTsuyoshiと急速にビリヤードに嵌まり込み、いつの間にかギリシャ人男性とシェアしていた グリーブ(Glebe)のフラットを出て、キングス クロスのTsuyoshiのバチュラー(一人暮らし用のフラットの事)に転がり込んでいた。

ここからTsuyoshiとエリザベス ベイの4人とべったりつるみだし、カラオケやバーにに行ったり、他のフラットのホームパーティに出かけたりして大勢の日本人や韓国人、インド人、その他諸々に出会った。

 

Tsuyoshiのバチュラーは毎日が24時間エンドレスのホームパーティのようで、誰かの住み家というよりゲストハウスというか、集会所みたいな感じで 仕事を終えて帰ってみたら常連や彼らが連れてきた新顔がいる、といった日々だった。

そのためかこのバチュラーで一人になった時の事は強く覚えている。

…なぜかは覚えてないが「望郷」みたいな気分になり、誰かが持ってきた日本のミュージックテープを聞いて膝を抱えて泣いた。 もちろんそんなの束の間の事で1時間もしないうちに誰かが入ってきて笑いに代わる。

 

オーストラリア シドニー キングスクロスのフラット

オーストラリア・シドニー キングスクロスのフラット

左端がTenちゃん。その右がYumiさん、真ん中がTsuyoshi。右から2番目はコーリアン(韓国人)のイル。

 

オーストラリア・シドニー キングスクロスのフラット

左端がBirdさん。

柔道家のBirdさんはシドニーのホテル・レストランで勤めだしたが、調理経験がなかったので いろいろと料理について僕に相談してきて仲良くなった。

また、見たわけではないがMasaさん曰く

「Birdさんは仕事に遅刻しそうって事でキングス クロスで走ってて道路に飛び出したもんだから車にはねられた。 数メートルぶっ飛んだんだけど受け身をとってそのまま走り出した。 車の運転手の方がショックを受けてた。」

という逸話の持ち主。

とんでもない話だけどBirdさんならありえそうで…

この話は何度聞いてもおかしかった。

 

オーストラリア・シドニー キングスクロスのフラット

ブリスベンで一緒だったHisakoさんと再会。シドニーの日本人社会って狭いんだね~。

右から2番目がKobaさん。

 

オーストラリア・シドニー キングスクロスのフラット

彼女たち2人は誰かが連れてきた。

挟まれてる顔だけの男性がHiroshiさん。

このHiroshiさんとMasaruさんは後にサーファーズパラダイスでも一緒に働く事になる。

 

オーストラリア・シドニー キングスクロスのフラット

左から2番目がMasaruさん。

航空自衛隊生徒隊の3期上の先輩にあたりTenちゃんとパイロット・コースに 進んだ同期。

3期上の先輩なので今まで顔も知らなかったが、僕はこの先輩の強引な勧誘でサーファーズパラダイスもそうだが、更に後に沖縄にまで引っ張り出される事になる。

 

オーストラリア・シドニー キングスクロスのフラット

右から2番目がMisa。

 

オーストラリア・シドニー キングスクロスのフラット

だからさ…。

みんなあちこちから日本人拾ってこのフラット連れてくるんじゃない(笑)。

たくさん写真に写ってるけど Tsuyoshi 以外この部屋の住人じゃないからね。

 

…俺もか…(単なる居候)。

 

オーストラリア・シドニー キングスクロスのフラット

MisaとMasa。

この二人は年上だったのだが、なぜか「さん」付けをしなかったな…。

ざっと見てもこんな感じで昼夜問わず人が出入りしていた。

シドニーではビールはもっぱらトゥーイーズ(Tooheys)を飲んでいて、 ブリスベンでよく飲んでいたXXXX (フォーエックス)は あまり口にしなくなっていた。

 

【狂詩曲(ラプソディ)とは】
既成概念にとらわれず、既成の楽曲を組み合わせたりアレンジしたりして自由奔放に即興で奏でる音楽。シドニーでは予想外の事が起こったり、新しい事を覚えたり、大都会ならではの刺激に満ちた生活だった。アクシデントもたくさん起きたが、まさに即興で対応をせざるおえなかった。

 

キングス クロス(シドニー)