首里 慈眼院(首里観音堂)
首里城の守礼門からまっすぐ風情のある景観の綾門大道(あやじょううふみち・県道50号線)を降ってくると右手に臨済宗妙心寺派の寺院「慈眼院(じげんいん)」、通称「首里観音堂」が現れる。僕の身内の病気が長引いた時に、地元出身の職場の同僚に「お祈りに行きましょう。沖縄では「寺回り(てらまーい)」とか「12ヶ所巡り」といってそれぞれの干支に対応するお寺に行くんです。古くからの習わしです。」そして僕の干支に対応してるのが首里観音堂と連れてこられたお寺。1618年に尚久王が建立し、1645年より毎年、琉球王国国王が国の安全を祈願・参拝するようになったお寺だけに県内の観音信仰の聖地としての風格を感じる。
守礼門をまっすぐ下った綾門大道(県道50号線)に慈眼院(じげんいん)の「山門(さんもん)」。
琉球赤瓦の屋根を持つ「鐘楼(しょうろう)」と山門が一体型になっているのは珍しいスタイルのようだ。
琉球王国国王が毎年参拝しただけあってかなり立派な門構えだね。
山門の右袖に臨済宗妙心寺派、萬歳嶺「慈眼院」の寺標(じひょう)。
山門の中、左手には「萬歳嶺記」の碑。
”万歳嶺跡(バンザイレイアト)
万歳嶺(俗称「上ナチジナームイ」)は首里台地の西端に位置する丘の事で、かつては松が生い茂り、頂上から美しい眺望が開けていたため「萬歳嶺夕照(ばんざいれいせきしょう)」と詠われた首里の八景のひとつであった。
時の国王尚真(しょうしん)がこの地に遊覧した際、王の治世、国の繁栄を祝う万歳の声がわきおこったことから、1497年、丘の頂上に「万歳嶺記」の碑を建立し、この丘を「万歳嶺」と称した。
1617年、後に国王となる尚豊(しょうほう)が国質(人質)として薩摩に赴いた際、父尚久(しょうきゅう)は息子の無事な帰国を祈願。同年尚豊が無事帰国したので、翌1618年、尚久は万歳嶺の南斜面に千手観音像を奉じ、観音堂と慈眼院を建立した。
その後、観音堂は旅の航海安全を祈る場所として人々の信仰を集めていたが、1945年の沖縄戦で焼失、「万歳嶺記」の碑も破壊された。戦後、万歳嶺の頂上付近を削り、観音堂が新たに建てられ「万歳嶺記」の碑も、残った一部を台座に組み込み、復元されている。
なお、万歳嶺に対し。その西方に連なる小高い丘は「官松嶺(かんしょうれい)」(俗称「下ナチジナームイ」)と呼ばれていた。”
山門の中、右手には「観音竹(かんのんちく)」。
”観音竹の由来
観音竹(カンノンチク)はシュロチクの一種で亜熱帯に広く分布しており、沖縄には中国より伝わり庭木として栽培されていた。当寺院にも古い時代から植えられカンノンチクと呼称されてきた。いつしかこの庭木を観音竹といい、全国に広まっていった。当寺院は観音竹の名称の由来地となっている。
首里観音堂”
間近で見ると鐘楼も立派。
重さが約2,000kgもあり、現在では県内最重量の梵鐘。
観音竹の横から階段を登ると、
首里観音堂(慈眼院) 境内
慈眼院の「本堂」。
本堂の右隣は「寺務所」になっている。
駐車場も広い。
本堂に向かって左手には、
観音堂斎苑(新納骨堂)。
納骨堂の入り口には「西院阿弥陀堂」の看板が掛けられている。
納骨堂の左隣に「萬歳嶺見晴らし台」。
東屋の作りも独特。
「首里十二支詣り(てらまーい)・首里12ヶ所巡り」についていえば、
琉球王国時代は首里城の広福門の建物に「寺社座(じしゃざ)」という寺や神社を管理する役所があり、12のお寺に干支がひとつづつ割り当てられていたようだが、現在は4つのお寺の菩薩さまや如来さまに十二支が割り当てられている。
慈眼寺(首里観音堂)
・千手観音菩薩(子・ねずみ)
・虚空蔵菩薩(丑・うし、寅・とら)
・普賢菩薩(辰・りゅう、巳・へび)
・勢至菩薩(午・うま)
首里山川町3丁目1
西来院(達磨寺)
・文殊菩薩(卯・うさぎ)
・阿弥陀如来(戌・いぬ、亥・いのしし)
首里赤田町1丁目5-1
安國寺
・不動明王(酉・とり)
首里寒川町1-2
盛光寺
・大日如来(未・ひつじ、申・さる)
首里儀保町3丁目-19
ちなみに4寺院全て「臨済宗 妙心寺派」のお寺。
琉球王国の寺院は経済基盤を内地のように檀家の払う「護持会費(ごじかいひ)」に頼っていたわけではなく、琉球王朝の支援に頼っていたため、琉球処分以降、収入減が断たれ多くのお寺が立ち行かなくなったそう。
また、首里の丘は沖縄戦において壊滅的なダメージを受けたため、多くの寺院が破壊されてしまった事、その子孫が残っていない事も要因のひとつと考えられる。
山門の内側には一本の大きなガジュマルの樹が。
ここでは「観音堂の長老樹(ガジュマル)」と呼んでるんだね。
本堂に。
慈眼院(首里観音堂)本堂
本尊は千手観音菩薩 様。
本堂左手。
本堂内右手にはお守りなどを受け取る「守授室」。
僕の干支と関係あるのがこの慈眼院。
まずは厄を払ってもらわなくては…。