金武町 金武宮/金武観音寺
琉球王朝王府の「官社の制」により琉球八社の1つとなった「金武宮」は金武観音寺の境内にある鍾乳洞の中にある。室町時代、高野山で修行した「日秀上人(1503~1577)」が紀州(現和歌山県)熊野の那智勝浦から補陀落渡海(ふだらくとかい)という捨身修行を行った結果、琉球王国時代の金武に漂着しその後、金武に金武観音寺を建立し、金武観音寺の庭にある鍾乳洞の洞窟を霊場として金武宮を構えたのが始まり。日秀上人はその後、琉球で真言宗と熊野信仰の布教に努め、波之上宮を再興したり、護国神社に仏像を彫って祀ったりした後、薩摩に渡り、九州でもいくつか寺院を開いている。…しかしこの「補陀落渡海」という修業がなかなかのもので時代時代で少しづつ変化はあるんだけど、大筋で言えば、渡海船という和船の上に屋根付きの小屋を置き小屋の周りに「発心門」「修行門」「菩提門」「涅槃門」とい4つの鳥居みたいな朱塗りの門を置いた舟に乗って那智勝浦の沖まで他の船にぴっぱられた後漂流するというもの。その結果「仏が住む清らかな浄土」にたどり着く事になるらしいんだけど、修行僧が小屋に入ると自分では外に出られないように入り口を固く閉じられる上に船には艪も櫂も置かない。本当に漂流以外は許さない修業。まあ30日分の水と食料は積んだらしいんだけど、基本的に捨身行(死ぬのがわかってる修行)。昔の偉いお坊さんってストイックすぎる…。
国道329号線を金武町の新開地方面に走っている右手にESSOの給油所が見えた辺りで左側に「金武観音寺」の白い道路標識がありそこを左に入る。200mほど進むと左手に金武観音堂、左手に駐車場が現れる。
金武観音寺の参道の道路向かいには約20台の駐車場が用意されている。
金武町 金峯山 金武観音寺
金武観音堂の参道。
真っ正面に金武観音堂が見えている。
竹垣の並んだ参道沿いに「金武観音堂のフクギ」。
推定樹齢約350年、県内でも希少な巨木なんだね。
参道の右手側はちょっとした森になっている。
フクギに続いて左手には子供を抱えたお地蔵様。
思わず手を合わせる。
同じく左手にもう一人のお地蔵様。
もちろんこちらにも手を合わせる。
またまた左手に手水舎(ちょうずや)。
手水舎って僕は「ちょうずや」って読んでるんだけど、「てみずや」「てみずしゃ」「ちょうずしゃ」「水盤舎(すいばんしゃ)」「御水屋(おみずや)」などなど様々な呼び方がある。
参道のまっすぐ正面に金武観音堂の本堂。
山号は「金峯山」、本尊は「聖観音」。
金武観音堂に向かって右手側。
金峯山 観音寺供養塔。
金武観音堂 本堂に戻って正座でお参りする。
お賽銭箱とおみくじ。
このおみくじ、もちろん値段が書かれているんだけどなんと「20円」。
他のお宮さんはだいたい100円なので値上げしてもいいと思うんですが…。
沖縄戦でほとんどの寺社仏閣が焼失した中、金武観音堂は焼失を免れた。
そして金武観音堂は昭和59年6月1日、有形文化財(建造物)に指定された。
という事が金武町教育委員会の名前で書かれている。
金武町 金武宮(観音寺 鍾乳洞)
さてと、ここからが本命の琉球八社の金武宮。
日秀上人にちなんで「日秀洞(にっしゅうどう)」と呼ばれる鍾乳洞の中に入る。
日秀洞は深さ約30メートル、全長270メートルとかなり大きな鍾乳洞だ。
開門時間は「午前7時から午後4時」なのね。
結構急な階段。
鍾乳洞って感じする~。
「金武宮(金武権現)」。
日秀上人が広めた琉球の「真言宗と熊野信仰」のスタート地点。
日秀上人は金武宮を建てた後、その後沖縄の神社の総鎮守となる那覇波上宮を再興させたりしたこともあり、琉球八社では安里八幡宮を除いて他の神社は全て「熊野三所権現」を祀っている。
ちなみに安里八幡宮は琉球八社唯一の「八幡宮」で「八幡神」を祀っている。
洞窟はまだ下まで続いているので降りてみる。
鍾乳洞に「大仏天蓋」の貼り紙。
ちなみに仏像の上に傘の様に吊っている飾りを「仏天蓋」と呼びます。
金武町 日秀洞 大蛇伝説
金武には大蛇伝説があり、この鍾乳洞に棲む大蛇が若い青年に化け、町の若い美女をこの鍾乳洞に誘って連れてきては肝を喰らっていて、戦々恐々とする町の人の為に日秀上人が大蛇を祠に封印し退治したというお話。
看板には「天水」とタイトルがあり、煩悩を洗い清めてくれると書いてある。
洞窟はまだ先に続いていて…。
ここで行き止まりに。
日秀洞はこの先にかなり広い広間があるんだけど、鍾乳洞保護の為に立入禁止になっている。
この日秀洞、以前は金武酒造というこの町の泡盛の酒造会社が泡盛を寝かせる場所として使っていた時期があり、泡盛は三年以上寝かせると古酒(くーす)と呼ばれ、味もよくなりもちろん値段も高くなるんだけど、人気がありすぎて他に移設したらしい。
ま、この鍾乳洞、日秀上人ゆかりの神聖な場所ですもんね。
りっぱ鍾乳洞だね。
鍾乳洞の一番奥から入り口側を見るとこういった感じ。
降りてきた道を戻っていく。
太陽の日差しがまぶしい。
金武観音堂の境内に戻る。
金武観音堂、金武宮、なかなかミステリアスなところでした。
あ~境内の緑が映える~。