台湾淡江大学コロナ禍留学レポート
台湾の淡水にある淡江大学への学士留学の為、コロナの影響でガラガラの成田空港から、2021年10月5日 11:15、一人JAL809便 台湾桃園行きの日本航空機で日本を発ち、14:10、台湾の地を踏んだ娘ちゃん。コロナ禍なので、検疫タクシーとか呼ばれる専用のタクシーで新北市南部の桂山という発電所などがある山中のホテルまで移動し、2週間の法定隔離期間があり、その後さらに台中の市街地のホテルで大学の自主隔離期間が1週間(外出禁止ではない)ある。オンライン授業は日本にいた9月から既に始まっていたので、このコロナ隔離中も授業は粛々と続いていた。この辺りまでは娘ちゃんも授業はあまり聞き取れなかったためWindows10のウインドウズキー+Gなどの機能を使って授業を録画してもらい、僕の方で翻訳してたりしたんだけど、11月に入った頃から英語にも中国語にも慣れたのか翻訳のお手伝いは減っていった。今回の記事は僕の旅ではなく、コロナ禍の2021年に台湾に留学した娘ちゃんの話を書いてみる。
2021/04に書いた「台湾 – 淡江大学 学士課程留学 申請方法」の記事や「台南応用科技大学 学士留学申請方法」がすごくよく読まれていて、
「あ~、やっぱ台湾留学に興味のある人って結構いるんだな~」
って思い、なら台湾に入ってからはどういう流れになるのか?ってのも知りたい人いるだろうな。僕達も気になってたし。…と思い、自分自身は旅してないんだけど、娘ちゃんとのやり取りから記事を書いている。
まあ、ワンチャン2年後にもこの技もう一回使うかもしれないから忘備録にもなるしね。
合格通知~9月まで
2021/06/09に淡江大学の合格通知のメールが届いた後は、大学の担当者からLINEを通じて指示をもらい、単純に言われた事をひとつひとつこなしていく日々が続いた。
Googleフォームのアンケート機能を使い、学部はどこを選択するのかとか、寮を希望しているかとか、学部とは関係ない中国語センターの授業(無料)は受けたいかとか回答し、専用サイトで前期の学費をクレジットカードで払い(入学金はない)、PDFで入国受け入れスケジュールや台湾入国に際してやらなければならない検疫の為の対応や入学後のスケジュール、奨学金などのさまざまな資料をもらって読んでいた。
この時期にちょっと困った感じだったのが、9/6入学となっていたのに8月になっても入国許可が下りなかった事と、同一目的の資料が何度か送られてくるんだけど、内容が微妙に違った事だった。…おそらく去年2020年、コロナで留学生の対応が混乱したため、今年は多少修正されてるのに古い去年の資料の内容で送ってきたとかだと思う。
台湾でビザを発給する「中華民國外交部」が留学生にはビザを発給すると言ってるんだけど、時期がはっきりしない。とかの報告があった時もあった。
2021年は一般の旅行者はもちろん、中国語語学留学も完全に受け入れない状況だったのでなかなか落ち着かない気分の日が続いた。
ちなみに前述の「中国語センターの授業」は絶対受けた方がいい。本来は8週でNT$20,000(約82,000円)とかする。
9月~
9月になるとマイクロソフトのTeamsを使ったオンライン授業が始まった。
9/6が入学式のはずだったのに、9/6が過ぎても台湾入国のめどが立たなかった。
淡江大学は授業の専攻とか単位とか全て専用サイトのマイページで管理しているんだけど、日本に居ながらにして単位だけ増えていく感じ…。
中国語センターの授業も夕方からやってたんだけど娘ちゃんは基礎からちゃんと受けたいとの事で初級の授業を取っていた。…そうなると君、クラスの中で相対的に優秀になっちゃうよね…。
オンライン授業にも慣れてきた9月中旬、大学からLINEで入国受入日の一覧が送られてきて、入国日を決めて打合せの上、航空券を取っていいという事になった。期間は9週間で毎週火曜日と水曜日が入国可能日だった。
LINEで大学の担当者と打合せし、早めの10/5(月)に台湾に入国をする事にした。
航空券をネットで調べると、もちろん沖縄からのフライトはなく、成田か関空からしか台湾には渡れない状況。JALで4万円の片道チケットを確認して、娘ちゃんに確認して翌日再度予約の為にサイトを見てみたら最低価格は4.5万円になっていた。…まあ、あるあるだよね。韓国経由でベトナムに行く時もこれあった…。
2021/09/17にやっとビザ発給の証明書が発行されたとの知らせがあり「台北駐日経済文化代表処 那覇分処」にビザをもらいに行く。
留学時の台湾のビザの発行の流れって、
①各大学が受入れ留学生のリストを台湾外交部に知らせる。
②台湾外交部がビザの発行を決め日本に駐在している「台北駐日経済文化代表処」という大使館相当の組織にビザ発給許可の連絡を入れる。
③代表処から連絡が来たらビザを受け取りに行く。
といったような流れになっていて、大学の受入れプロセスの策定が遅れているのか、外交部が遅れているのかよく解らない部分があるんだけど、今回は外交部の受入れ体制の整備に時間がかかったみたい。
まあ、仕方ないよね、コロナで誰も外国から入国させてない中、短期間に何万人の留学生を受け入れるってなったんだろうしね…。
注記に「Special entry permit for COVID-19 Outbreak」と記された台湾の入国ビザ。
10月~
10/03 16:00に英文証明書を発行できるPCR検査センターでPCR検査を受けた。
台湾の海外との空の窓口はこの時点で桃園国際空港の一か所だけになっており、台湾到着の72時間以内のPCR陰性証明書がないと入国できない…ってか日本のフライト時にも確認されるんで飛行機に乗る時点で証明書がないとアウトなんだけどね。
沖縄の場合だと那覇市安里にある「沖縄PCR検査センター」で検査費2,000円(税込)、英文の陰性証明書の発行代5,500円(税込)の計7,500円でPDFの証明書を翌日中に発行してもらうことができる。
成田国際空港にもPCRセンターがあり、30,000円(税込)で最短2時間で証明書を発行してもらうことができる。
10/4(月)に沖縄から成田に飛び、翌日成田から娘ちゃん一人台湾の桃園空港に旅立った。コロナワクチンは2回接種済みだったので、ワクチン証明書使えるかな?と思ってたら全く出番はなかった。
台湾 桃園空港に着いてから
台湾は2018年8月3日にアジアで初めて発見された「アフリカ豚コレラ(アフリカ豚熱)」の侵入を防ぐため生であれ加工であれ肉の持ち込みが禁止されていて、もし持っていた場合は入国拒否か初回80万円、2回目400万円の罰金というかなり厳しい対応をしているので(カップラーメンの具の肉もダメ)要注意。
桃園国際空港についたら係員の指示で30日間有効なSIMを購入して、コロナ対策されたタクシーで新北市の南部にある桂山という山の隔離施設(ホテル)に移動して2週間の法定隔離期間を過ごす。ちなみにタクシー代(15,000円前後)は自分で払う事になるので事前に台湾ドルをある程度持っておいた方がいい。
法定隔離期間は食事を受け取るために玄関のドアを開ける以外は、一歩も外に出られない。
娘ちゃんが事前に大学の先輩から聞いていた情報でランドリー・ルームにも行けないから洗剤を持ってきて部屋で手洗いするか、2週間分洗い物を溜めるかしなければならないとの事だった。
この2週間はコンビニにも行けないので娘ちゃんも自宅を出る時まで毎日のように手荷物を気にしていた。
またうちの場合は、この法定隔離期間の2週目(10/13)ごろから日本での奨学金「日本学生支援機構(JASSO)」の話を進めていて「第二種奨学金(海外)海外貸与」の申請書類を大学側と調整し始めている。
・JASSO指定の「様式G」
※様式Gは推薦状の代わりになるので推薦状は不要。
・必要事項が書かれた大学レターヘッドがある「在籍証明書」
1,発行日
2,本人指名
3,在籍学校名・学部・学科・コース
4,取得学位
5,正規課程への入学年月日
6,卒業予定年月 ※最終授業/最終試験が行なわれる年月を記入。
・在籍大学が4年生大学(学位取得過程)であることを証明できる書類。
…ざっくりこんな書類を大学側に準備してもらう必要があるんだけど、単に「在籍証明書ください」ってお願いするとレターヘッドがなかったり、必要項目が落ちてたりするので、JASSOの資料をしっかり読んで、細かく指示を入れる必要がある。
…日本の書類は細かいから、後日談として12月(12/4)になっても「不備あり」の書類に対応している。
2週間の法定隔離後
法定隔離期間が終了したら、娘ちゃんは同じホテルで隔離期間を過ごしていた別の新入生2人と台中の「中科大飯店」まで車で移動し、更に1週間、淡江大学の自主隔離期間を過ごす。
ただ今までとは違い、一応外出もできるし、ホテル内のランドリー・ルームも使えたようだ。
始めの法定隔離期間2週間は娘ちゃんも心が折れそうになる時もあったんだけど、台中に来てからは同じ状況にいる新入生たちと集まる事ができ、かなり気持ちにゆとりが出ていた。
この「大学の自主隔離」については大学が手配した「中科大飯店」じゃなくてもよかったようで、自分で手配する事も可能で(大学のアンケートで聞かれる)、淡水のホテルに入った留学生もいたようだ。
娘ちゃん的には金額的に高くても大学の手配の流れに乗っておいた方が、友達もできやすいし、手配の手間も省けると考えたようだ。
実際娘ちゃんが泊まった部屋は、3人くらいで泊まれ、ドレッサー、書斎にありそうなデスク、ソファーとかもあるセミスィート位の部屋だった。
淡江大学 学生寮「淡江学園」
3週間の隔離生活の後、娘ちゃん達はやっと淡水にある淡江大学のキャンパスに入れたようだ。
淡江大学の淡水キャンパスには、
・キャンパス内東側にある「松濤女子寮」。
・キャンパス内紹模紀念体育館に隣接する「麗沢国際学舎」。
・キャンパス外中山北路一段沿いの「淡江學園」。
の3つの学生寮があるんだけど、宜蘭キャンパスが今年で閉鎖になるようで、宜蘭キャンパスにあった学科の一年生はまとめて淡水キャンパス外の「淡江学園」に入ることになったようだ。
なので台湾人も含め多くの外国人が「淡江学園」で暮らしているらしい。
娘ちゃんが入った「淡江学園」は、
1階…エントランス、一般店舗。
2階…オフィス。
3~5階…女子寮。
6~14階…男子寮。
地下3階…ゴミ捨て場。
偶数階にキッチン。
といった感じらしい。
洗濯は屋上で、男子と女子はお互いの部屋に行き来できないので、溜まるのも、タバコも屋上のようだ。
原則寮内禁酒なんだけどみんな普通に飲んでるらしい(笑)。
まあ、台湾は18歳から飲酒OKだから…。
事前の話では「麗沢国際学舎」が留学生宿舎って聞いてたんだけどね…。宜蘭キャンパスが今年で閉鎖になる事やコロナの影響でいろいろと変更があったんだろうね。
娘ちゃんは「全球政治經濟學系全英語学士班」という英語オンリーの授業しかやらない学科に所属したため、初めは留学生全員学生寮に入れられる。
政治経済学部の留学生は12名、内日本人2名。
彼女の場合は4人部屋で日本人2人とマレーシア人、香港人という部屋割りになっていた。
大学に到着してからは生活の色々な手続きが始まり、
・中華民国居留証。
・大学推薦の携帯電話のSIM手配(ここまでは30日間の市販の使い捨てSIM)。
などを一人で対応している。
奨学金「有蓮獎學金」
淡江大学の卒業生、徐航健氏が109年(西暦2020年)より6年間毎年2,000万台湾元(約8,000万円)を学生の教育訓練の為に給付型の奨学金として寄贈してくれていて、華僑、マカオ香港、外国学生に「博士、修士課程20万元」「学士課程2万元」、博士6名、修士9名、学部生150名という枠があり、授与条件としては、
入学学力測定:4科目で53点以上の点数。
入学成績:学部の上位5%。
スポーツ入学での優秀者。
学士班の申請者で入学成績が特に優秀。
といったもので「有蓮奨学金」と呼ばれる。
他にもめちゃ狭き門の給付型奨学金もあるんだけど(全部で3種類)、どれか一つしか貰えないというのもあり、娘ちゃんは「有蓮奨学金」に申請する事に。
…見事にもらえる事になった。なんでも申請できるのはしておくべきだね。
この有蓮奨学金はフォーマルな授与式があり、娘ちゃんはただ一人「学科奨学金」と言うのをもらっていた。
…ただこの有蓮奨学金を受け取るのにちょっとした後日談があって、奨学金のお金を受け取るには淡江大学のアプリに金融口座を登録する必要があるんだけど、台湾の銀行は、
・20歳未満は保護者のサインなしでは開設することができない。
というのがあって、慌てて色々調べて、締め切り日の前日に郵便口座を開設して、締め切り当日ギリ登録完了。
…何かあるたびに「ちょこっとしたスリル」の連続。
有蓮奨学金授賞式の後には「晩会」、パーティもあったようだ。
台湾での食事
台湾に限らず、海外留学で気にしないといけない事の一つに現地での食事がある。
現地の食事が合わなければ、苦しい4年間を送ることになるから。
台湾の場合だと、日本と同じような料理も多いんだけど、気を付けなければならないのが香辛料。
特に台湾ではどんな肉料理にも使われる「八角」は日本人に馴染みが薄く、苦手な日本人が少なくないと思う。
3回夏季留学経験のあるNonはこの点ひどく、タピオカとコンビニで生き延びていた。
娘ちゃんも、3回ほど台湾には行ったことがあるので、その辺は理解していた…。
八角のにおいは好きではないようだけど、食えはするらしい。
…そのうち慣れるよ。
僕も沖縄来た時、まったく沖縄料理食べられなかったのに、今となっては、ないと死ぬ(笑)。
日本からの国際郵便小包
まあ海外あるあるで…。日本の食品のクオリティが高すぎるというか…。ある日、娘ちゃん、
「日本のお菓子とインスタント食品が食べたい!」
という事で、台湾に小包を送る事に。
ちょっと調べてみると全世界共通国際郵便で送れないもののリストが。
さらに台湾に国際郵便する時の注意事項。
まずは牛肉が少しでも入っているものと、蟹が入っている物はやめといたほうがいい。例えばカップヌードルはドライビーフが入っているのでNGだし、おそらくビーフエキスもNG。
参考までに言うと、台湾に限らずソーセージやハムなどの肉製品もやめておいた方がよくて、農林水産省動物検疫所によると、
”動物検疫所の検査を受けずに肉製品を受け取ることは罰則の対象です。
3年以下の懲役または300万円以下の罰金になります。
口蹄疫(牛などの病気)、豚の病気、鳥インフルエンザなどの動物の病気が、海外から日本に入ってこないようにするためです。”
となっているからです。
そして、
・重量が6kgを超える小包。
・1,000米ドルを超える小包。
は台湾の食品薬物管理局に輸入検査を申請しなくてはいけない。
日本の郵便局のルールとしては30kgまでOKなんだけど、送り先の国ごとにルールがあっての事。
…うっ…、食品の場合6kgまでしか送れないせいで台湾に荷物送るのはとても割高だ…。
5,538円の食料を船便で送るのに送料2,800円+400円の保険料がかかる…。
アメリカだと30kgマックスまで送れるのに…。
ちなみに国際郵便小包を送るには3枚ほど書類を書かないといけないので、国際郵便マイページサービスを使うのがおススメ。
一回送っちゃうと「送り主」「送り先」「履歴」などが保存できるので、2回目以降はかなり手間を省ける。
あと税関向けに「税関告知書補助用紙」も必要。このリンクの先に飛べば記入用のエクセルが手に入る。
つまり台湾に小包や段ボールを郵送するのには4枚の書類が必要。
それからもう一つ重要なのが、送る荷物を入れる箱はビールのケースなどを使うと、疑われて面倒なことになるようなので、できるだけ無地の箱を選んだほうがいい。
娘ちゃんもうちの家族も台湾留学に当たって気が付いたのが日本語のサイトでの情報の少なさ。
この記事が誰かの役に立つと嬉しいな。
淡水大学への4年制学士留学の申請の流れはこちら。